ファンタジア大賞出身作家インタビュー

ミズノアユム
第26回冬期ファンタジア大賞、金賞。受賞作『そして紅蓮の雪は止む』改め『死線世界の追放者(リジェクター)』でデビュー。能力バトルと独自魔法体系と中二ルビを恒常摂取しないと全身から血を噴きだして死ぬ兼業作家。好きなものは王道ストーリーと負けヒロインと噛ませライバル。新居のベランダにカブトムシがよく突っ込んでくるので、実は美少女ではないかと推測している。
名もなき竜に戦場を、穢れなき姫に楽園を

イラスト:切符

受賞作は、どんな作品ですか?
かつて英雄に倒された悪の四天王の一人が、平和な世界に復活する話。
ただし、主人公は四天王その人。英雄に最初に倒され、目覚めた彼が目にしたのは、悪の帝王が既に倒され、英雄の手で救われた世界。破壊と蹂躙しか知らない悪の大幹部は、平和な世界で何が出来るか? というバトルファンタジー。
と言うといかにも邪道っぽいですが、つまるところ無垢な子供とかに絆されて味方に寝返っちゃう敵幹部ポジって良いよねという話です(ざっくり)。
受賞作を執筆中に、特に意識していたことを教えてください(キャラやコンセプト、テーマ、文体など)。
とりあえず趣味に走ろうとだけ意識してました。異世界ファンタジー、戦後モノ、最弱の四天王、魔法体系、異世界召喚。悪の主人公VS正義の敵。それまでは定型を(そこそこ)意識して書いていましたが、一旦全部捨てて、好きなモノ、好きな要素、好きな展開、好きなキャラを全部載せたやつを作ってみようと思いました。
なぜ、それを意識されていたのでしょうか? 狙い・意図を教えてください。また、それは達成できていたと思いますか?
既に何作か投稿していましたが、端にも棒にも掛からない結果が続いていました。
就職活動が迫っていたので、最後のチャンスだと思い、とにかく自分にとって後悔の無いものを作ろうと思いました。好きな要素は確かに詰め込めたものの、それが内包するテーマを書き切るには私の技術が足りない部分はあったかと思います。
ファンタジア大賞に投稿された理由はなんですか?
自分の描く世界観は、根本のところは王道の異世界ファンタジーだと思っていたからです。今の時代にそういうのを受け入れてくれる土壌はファンタジア大賞しかないだろうなーという判断で、これに関しては今でも間違っていないと思っています。
ファンタジア大賞の投稿システムはいかがでしたか?
印刷した紙原稿の重みと温かみ・・・コンビニでは売ってない封筒の大サイズ・・・文具屋を走りまわり・・・郵便局に行って息を弾ませ順番待ちし・・・しどろもどろで職員さんに説明し・・・そして送達を無事に終え、弾む気持ちを抑えて帰る・・・
そんな無駄に疲れて手間が掛かるだけの苦労には微塵も意味がないので、ネット投稿になって本当に良かったです。
受賞するまでに、どのくらい書いて投稿してきましたか?
受賞作を含めて五作です。大学時代に、年1〜2ペースで書いてました。
趣味としてなら、一次・二次問わず中学時代から書いていましたが、まとまった長編は投稿作だけでした。
投稿後、「もっとこうしておけば」と思ったことがあれば教えてください。
作品を投稿してから受賞するまでは、振り返りとか意味がないので次の作品を書いてました。
後悔というと、趣味に走ること以外は本当に何も考えずに作った作品だったので、出版するにあたり必要な調整がとても多く、お前もうちょっと考えろよ……! と、改稿の時期に後悔してました。
受賞する自信はありましたか?
面白い自信はありましたが、受賞する自信はなかったです。手応えは今までで一番あったので、あとは自分の趣味の方向性が、審査員の人の琴線に触れてくれるかなーどうかなー、という感じです。偉そうだなこいつ。
受賞させては頂きましたが、自分の趣味の方向性が正しいのかに関しては、未だに考え続けています。
受賞後、意外だったこと、大変だったこと、強く印象に残ったことなどを教えてください。
ここまででだいたい言ってしまった……。
投稿する前に考えても詮無いことではあるのですが、受賞した後のことは、受賞したらなるべく早めに考えましょう。
作品作りにおいて、何を重視していますか?
趣味とエンタメとの兼ね合いです。
基本的に暴走癖があるので、己が趣味という怪物を御しつつ、平和な日常を生きる読者を楽しませる作品を作り出さねばなりません。現代異能モノの王道ですね。わあいヒロイック。
油断するとすぐ怪物の方に寄りすぎて、助けようとしたはずの人々に「近寄るな!どうせお前も、奴らと同じ化け物なんだろう!」と悲鳴を上げられるので気をつけています。
これから、どんな作家になりたいですか?
好きな作品の更新があると嬉しい。新刊の発売が近いと元気になれる。
ファン仲間と作品の魅力について話していると疲れが消える。夢中になれる作品との出会いは、どんな辛さも和らげてくれる。
私にとって創作物とは、そういうものでした。
私の作る作品が、ほんの僅かでもいいので、読者の人にとってそういうものになってくれたら良いなあと思いながら書いています。(鋭く伸びた牙と爪を軋らせながら)
これからファンタジア大賞へ応募する方たちへ、メッセージをお願いします!
万人が手軽に表現できるこの時代になっても、創作の確実な上達法は確立されておらず、絶対にこうすれば通る、というものはありません。
ですが、逆に、これでは100%駄目だ、というものも存在しないと思います。
何でも武器になるし、何でも面白さに繋がります。ファンタジアの土壌は頑強ですので、だいたい受け入れてもらえます。頑張ってください。
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